人工知能(AI)技術の進歩により、新たなAIエージェントが登場し、私たちのインターネット体験を大きく変えようとしています。その中でも、AutoGPTは特に注目に値するプロジェクトです。この記事では、AutoGPTの概要やその使用方法、そしてこれらの技術がマーケティングにどのような影響を与えるかについて解説します。AutoGPTの概要AutoGPTは、GPT-4を活用してビジネスを自律的に開発および管理する機能を提供する革新的なPythonアプリケーションです。OpenAIのGPT-4アーキテクチャを利用して開発されたAIエージェントで、「セルフプロンプティング」や「オートプロンプティング」とも呼ばれるプロンプトを自動生成することができます。これにより、ユーザーが最初に入力した情報に基づいて、プロンプトをさらに発展・実行し、新しいプロンプトの生成につなげることができます。GitHubで入手できるAutoGPTは、言語モデルをテキストジェネレーターから複雑なタスクに対処できる多目的ツールへと変換することを目指して開発されています。実際にAutoGPTを使用する実際にどのようにAutoGPTを使用していくのか、その過程をこちらに記します。まず、AutoGPTのGitHubのページのInstallationに記載のある内容について設定等を完了させます。git cloneでファイルを落としたあと、各種設定を終わらせ、任意のエディターでファイルを開きます。OpenAPIのAPI KeyやGoogle searchのAPIなどをenvのファイルで設定後、scripts内のmain.pyのファイルを開き実行します(具体的な手順はGitHubに書いてあるので、実装したい方はそちらから参照下さい。)実行すると上記のような形で歓迎のメッセージと、AIの名前を決める指示が表示されるので、AIの名前を設定します。今回、AIの名前はMarketer-GPTとします。AIの名前を入力し終わると、次に役割の設定に入ります。今回はサンプルにあるように、「資産を増やすことだけを目的に、自律的にビジネスを開発・運営するように設計されたAI」という役割を与えました。役割の設定が終わると、5つのゴールの設定を促されます。同様にサンプルに記載の「純資産を増やす」「Twitterアカウントを増やす」「複数のビジネスを自律的に開発・管理する」ということをゴールとして設定しています。ゴールを設定し終わると最初のアウトプットが返ってきます。まず、MARKETER-GPTがゴール達成のために最初に取るべき手順を示し、その理由を説明し、具体的なプランを提示します。初回は以下の3つのタスクを提示してきました。Investopediaで純資産を増やすための情報を得る投資を増やすためのアドバイスをKiplingerで確認するGoogleを使って、他にどんな戦略があるのか確認する必ず行動の前に自身の行動を批判するように作られていて、「無関係なタスクに時間を浪費しないよう、常に確認する必要があります。ブラウジングは便利ですが、飛び込む前に各ソースを評価することが重要です。」と自身への注意を促した上で、次のアクションへの承認を求めてきます。y(Yes)と入力すると、そのアクションを実行し、次の結果が出力されます。結果が返ってきましたが、残念ながら検索したページが404でエラーが返ってきたそうです。MARKETER-GPTは別のプランを考え、近道を見つけて純資産を増やす機会を特定することを期待し、AIエージェントを作成することを考えたそう。具体的な手順として以下を提案してきました。Net Worth Advisor」という名前のGPTエージェントを作成する純資産を増やすための戦略を調査するタスクをエージェントに課す準備ができ次第、調査結果の要約を私に送るようエージェントに指示するこういったプロセスで、ゴールを達成するための方法を、あらゆる方向から考え出し、達成に向けて自己批判をしながら自律的にタスク実行していくのがAutoGPTとなります。この後はゴールを達成するまで永遠に処理を続けていくのでこの辺りで解説は終了しますが、内容が気になる方はぜひAutoGPTを落として実行してみて下さい。今回のAutoGPT検証ではGPT3.5のAPI1つしか使っていないので、4000トークンまでしか記憶を維持できず、それ以降の推論はあまり機能しません。今はWeb検索を行ってタスクを完了させるくらいの処理しかできませんが、今後の発展に期待です。AutoGPTをGUI上で操作できるAgentGPTというサービスもあるので、まずはこちらから触ってみるのも良いかもしれません。自律的にタスクを実行するエージェントの実例スタートアップ企業HyperWriteは、自律的にタスク処理するエージェントのChrome拡張機能を開発しました。この拡張機能は、ウェブを閲覧し、ウェブサイトと対話できる実験的なAIエージェントを提供します。基本的なウェブタスクを自動的に処理するパーソナルアシスタントのような役割を果たし、例えば、オンラインでピザを注文するなどのタスクを自動化できます。HyperWriteのCEOであるMatt Shumer氏が実際に行った非公開でのデモは以下のTwitter上に動画として公開されています。%3Cblockquote%20class%3D%22twitter-tweet%22%3E%3Cp%20lang%3D%22en%22%20dir%3D%22ltr%22%3EToday%2C%20we%E2%80%99re%20unveiling%20Personal%20Assistant%20-%20%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ftwitter.com%2FHyperWriteAI%3Fref_src%3Dtwsrc%255Etfw%22%3E%40HyperWriteAI%3C%2Fa%3E's%20groundbreaking%20AI%20agent%20that%20can%20use%20a%20web%20browser%20like%20a%20human.%3Cbr%3E%3Cbr%3EOne%20agent%20to%20rule%20them%20all.%3Cbr%3E%3Cbr%3EIt%E2%80%99s%20time%20to%20reimagine%20the%20way%20we%20interact%20with%20the%20internet.%20%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ft.co%2FcsGjtIU0Ip%22%3Epic.twitter.com%2FcsGjtIU0Ip%3C%2Fa%3E%3C%2Fp%3E%E2%80%94%20Matt%20Shumer%20(%40mattshumer_)%20%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ftwitter.com%2Fmattshumer_%2Fstatus%2F1646234077798727686%3Fref_src%3Dtwsrc%255Etfw%22%3EApril%2012%2C%202023%3C%2Fa%3E%3C%2Fblockquote%3E%20%3Cscript%20async%3D%22%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplatform.twitter.com%2Fwidgets.js%22%20charset%3D%22utf-8%22%3E%3C%2Fscript%3E今後もこういった単純なタスクは、自律的なエージェントによって効率化されていくことになるかと思います。AutoPilot型エージェントによるマーケティングの今後の展望AIによってほぼ全ての活動が自動化された場合、マーケティング活動のさまざまな部分が変化してきます。考えられる変化の一部を以下に記載します。SEO: AIが検索エンジンのアルゴリズムをリアルタイムで解析し、最適なキーワードやコンテンツを自動生成。また、競合サイトの分析やリンク構築も自動的に行い、ウェブサイトの検索順位を最適化します。広告: AIが消費者の嗜好や行動データをリアルタイムで分析し、適切な広告を自動生成。また、広告の配信チャンネルやタイミングも最適化し、効果的なリーチを実現します。コンテンツ制作: AIがターゲット顧客の関心事や行動を分析し、高品質なコンテンツを自動生成。また、コンテンツのフォーマットや配信チャンネルも最適化し、エンゲージメントを向上させます。YouTube: AIが視聴者の嗜好や行動を分析し、適切な動画コンテンツを自動生成。また、動画の編集やサムネイル、タイトル、タグも最適化し、視聴回数やチャンネル登録者数を増やします。SNS: AIがフォロワーの嗜好や行動を分析し、適切な投稿やキャンペーンを自動生成。また、投稿のタイミングやハッシュタグも最適化し、エンゲージメントを向上させます。記事、ブログ: AIがターゲット顧客の関心事や行動を分析し、高品質な記事やブログを自動生成。また、記事の構成や見出し、キーワードも最適化し、読者の興味を引きます。ライティング: AIがターゲット顧客のニーズに応じて、適切な文言やコピーライティングを自動生成。また、ABテストや最適化も自動的に行い、コンバージョン率を向上させます。動画制作: AIが視聴者の嗜好や行動を分析し、適切なストーリーボードやシナリオを自動生成。また、編集や効果音、テロップなどの要素も最適化し、高品質な動画コンテンツを制作します。CM制作: AIがターゲット顧客の関心事や行動を分析し、効果的なCMコンセプトを自動生成。また、映像や音楽、出演者選定などの要素も最適化し、ブランドイメージを強化します。ナーチャリング: AIが顧客の行動データや属性情報を分析し、パーソナライズされたナーチャリングメールを自動生成。また、送信タイミングや頻度も最適化し、顧客の購買意欲を高めます。メール: AIが顧客のニーズに応じて、適切なメールコンテンツや件名を自動生成。また、送信タイミングやリストセグメンテーションも最適化し、開封率やクリック率を向上させます。DM: AIが顧客の属性情報や購買履歴を分析し、効果的なDMコンテンツを自動生成。また、印刷や配送の最適化も行い、コストを削減しながらリーチを拡大します。展示会: AIが過去の参加者データやイベント情報を分析し、最適な展示会戦略を自動生成。また、ブースデザインやプロモーション活動も最適化し、来場者数や商談成立率を向上させます。コミュニティ: AIがコミュニティメンバーの関心事や行動を分析し、適切なイベントやコンテンツを自動生成。また、コミュニケーションやネットワーキングの最適化も行い、コミュニティの活性化を促します。AIによる自動化プログラムがマーケティング全体のプロセスに導入されると、各業務は効率化されるだけでなく、顧客ニーズに即した最適な戦略が実行されるようになります。これにより、企業は競争力を高め、マーケティングの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。まとめ最後に、AutoGPTの登場によってマーケティングの世界は大きな変革を迎えることになります。従来の手作業や時間のかかる業務は、AIによる自動化プログラムによって劇的に効率化され、より高速かつ緻密なマーケティング戦略が実現されるでしょう。また、パーソナライズされたコンテンツ制作や、ターゲットに合わせた最適な戦術を自動で提案・実行する能力によって、マーケティングの効果は大幅に向上します。しかし、この革新的な技術がもたらす影響は、喜ばしいものばかりではありません。セキュリティや倫理的な問題に対処し、AIを適切に制御・管理することが求められますし、企業は、AutoGPTを利用する際には、そのリスクも十分に考慮しながら活用していく必要があります。最終的に、AutoGPTを始めとする汎用人工知能の自律型エージェントの誕生は、マーケティング業界にとって新たな可能性を切り開くだけでなく、企業全体の経営戦略や組織体制にも影響を与えるでしょう。企業は、このテクノロジーを上手く活用し、競争力を高め、持続可能なビジネスを築くことが求められます。AGIの誕生という変革の波に適応し、マーケティングの未来を切り開くことが、企業にとっての最大のチャレンジとなるので、自社のマーケティングにもこの動きを取り入れてみてください。